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【オメガ3脂肪酸】DHA・EPAサプリ 批判意見に個人的に思うこと ③細胞膜機能におけるオメガ3の重要性

細胞膜機能におけるオメガ3の重要性


加工食品を手放せない人や、何年にもわたり食べ続けてきた人は、EPADHAを作る身体能力に悪い影響を及ぼすオメガ6を大量に摂取している確率が高い。オメガ3を多く摂取し、オメガ6の摂取量を減らすことで、過剰なオメガ6を細胞膜から押し出しやすくすることもできる。

The Importance of Omega-3 for Cell Membrane Functionality



概要

■細胞膜の表面は普遍的であり、そこに細胞機構が組み合わさる。内膜と外膜の完全性は細胞機能にとって不可欠である。

■細胞膜はまた、応答エレメント(=隣接遺伝子の転写効率を変化させる配列)と、ホルモンを除く全てのシグナル伝達を受け持っている。殆どのショートパス・シグナル伝達は膜から始まる。

■膜はリン脂質とその他の成分からなる脂質構造体である。食べた物が原料の基質となり、それがミトコンドリア膜や細胞膜に組み立てられる為、摂取する脂肪の種類が非常に重要となる。

■殆どの人は加工食品を避けようとせず、オメガ6リノール酸を摂りすぎてしまう。オメガ3の摂取量を増やすことで、EPADHAがオメガ6を膜から押し出すことができる。

■リゾホスファチジルコリン(LPC) は、EPADHAを目や肝臓、妊婦の場合は胎盤に送り込む。LPCは内因的に産生されるが、産生能力はコリンに依存している。

 

このインタビューでは、世界最大のクリルオイル会社である "Aker Biomarine" 社の研究科学者であるニルス・ホーエム(Nils Hoem)氏が、オメガ3が細胞膜の健康と機能に果たす重要な役割について深く掘り下げている。

「私の大学生活では、最初の20年間はオスロ大学で研究者として過ごしました。オスロ大学で薬理学の修士号と博士号を取得し、そこで准教授を務めました。15年前 "Aker Biomarine" 社でチーフ・サイエンティストとして働くようになりましたが、私は根っからの薬理学者です」とホーエム博士は言う。

 

 

膜の重要性

ホーエム博士の説明によると、細胞膜は細胞の機械が組み立てられる普遍的な表面部分である。「セルの中のごく僅かな部分が浮遊しているだけです。これは非常に複雑な構造であり、膜の完全性は細胞の機能にとって絶対に不可欠です」と述べた。

細胞膜はまた、応答エレメントと、ホルモンを除くほぼ全てのシグナル伝達を受け持っている。全てのショートパス・シグナル伝達は膜から始まる。ミトコンドリアにも内膜と外膜があり、これらの機能も健康にとって極めて重要である。

膜はリン脂質やその他の成分でできた脂質構造体である。内部にはホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンという両性リン脂質があり、極性末端と非極性末端を持つことを意味する。

食べたものが原料の基質となり、それがミトコンドリア膜や細胞膜に組み立てられるため、摂取する脂肪の種類が非常に重要になる。

 

 

オメガ6とオメガ3の競合

ホーエム博士は、従来の医学で必須と考えられている多価不飽和脂肪 (PUFA) が2種類あると説明した。その1つが、炭素数18のオメガ6リノール酸 (LA) である。必要なLAレベルは推奨値よりも大幅に低いと考えるべきだが、多くの成人は推奨値の10倍ほどを摂取していると考えられている。もう1つは同じく炭素数18のオメガ3αリノレン酸 (ALA) である。

これらの脂肪酸は体内で作ることが出来ない為、食事から摂取しなくてはならない。しかし、オメガ6リノール酸はほぼ全ての加工食品に多く含まれており、過剰摂取は有り得ても不足することは有り得ないと言えるだろう。

オメガ3系EPADHAなどは、炭素数がそれぞれ20個と22個だが、これらの変換に関与する酵素である「デルタ-6-デサチュラーゼ」が十分に利用可能であれば体内で合成することが可能だ。

問題は、この酵素には競合阻害作用がある為、オメガ6が体内に10倍 (1000%) 多く存在する場合、ALAをEPAに変換する代わりに、デルタ-6-デサチュラーゼを使ってオメガ6をアラキドン酸に変換する為に使われてしまう。

加工食品にはオメガ6脂肪酸が多く含まれている為、オメガ3とオメガ6の比率が根本的に歪められ、EPADHAを合成する身体の生来の能力が阻害される。

「日本人の教授が内モンゴルの人たちのデータを見せてくれましたが、モンゴルでは魚介類は全く食べず、草食牛の肉や乳製品を多く食べています。彼らはALAを多く摂取し、オメガ6は殆ど摂取していません。魚介類を全く食べていないにも関わらず、EPADHAのレベルがとても高かった。これが物語っていると思います」とホーエム博士は述べた。

 

 

殆どの人はオメガ6リノール酸を摂取し過ぎている

人類の歴史を見ると、かつて、オメガ6リノール酸(LA)は1日のカロリーの1~2%を占めるに過ぎなかった。現在では20~25%の間になっており、多くの人は細胞内に莫大な量のLAが蓄えられていることになる。

LAの摂取量を過去の基準値まで減らせば、デルタ-6デサチュラーゼの競合は起こらなくなる。また、オメガ3系ALAの基準値を満たしていれば、相当量のDHAEPAを作ることが出来る為、オメガ3サプリメントは恐らく必要ないだろう。

問題は、多くの人が加工食品を止めることが出来ず、極端に多くのLAを摂取してしまう点である。LAを過剰に摂取している場合、相対的にオメガ3脂肪酸を多く摂取するか、オメガ6脂肪酸の摂取量を減らす必要がある。両方を行うことが理想的と言えるだろう。


「オメガ6の摂取量はオメガ3に比べて非常に多いので、膜中のオメガ3を増やすにはオメガ3を摂取するしかありません。その後、膜内でEPADHAがオメガ6と1対1で交換されます」

「膜内のEPADHAの量を1モル(モル濃度)増やすと、同量のオメガ6が排出される訳です。膜は、オメガ6系とオメガ3系の摂取量を反映したものであると認識することが重要でしょう。オメガ6系はあらゆる食品に含まれているので過剰摂取になりやすいですが、長鎖オメガ3の摂取量を増やすことで改善できます」(ホーエム博士)


オメガ6の摂取量を大きく減らすことは可能だ。私は4年前からオメガ6の摂取量を1%以下に抑えている。やろうと思えば可能だ。LAは2年間と半減期が長い為、脂肪組織からLAを完全に除去するには6~7年かかるだろう。

 

 

オメガ3の摂取を増やすことは全ての人にとって必要である


ホーエム博士の話に基づけば、オメガ3の摂取量を増やすことでLAの除去を容易にすることができる。問題は、どれだけのオメガ3を摂取すれば効果を得られるか、ということである。

そして、オメガ6が排出された後、どうなるのか?脂肪エネルギーとして燃焼されるのか、それとも脂肪細胞に戻されるのか。残念ながら、ホーエム博士はこれらの疑問に対する明確な答えを持っていない。彼の推測では、一部はエネルギーとして燃焼し、一部は蓄積されるだろう、というものである。

 

「あなたが今日、鮭を食べたとすると、鮭から摂取されたEPADHAは体内を循環し、その後14日間、体内のあらゆる臓器で交換されます。EPADHA血漿に出入りしていることを研究で観察しています。

つまり、血漿中で増加した後、血漿中で減少し、6時間後に再び増加し、24時間後にピークを迎え、30時間後に再びピークを迎えます。様々な組織にどのように取り込まれているかを見ると、ヒントが得られるかもしれません。例えば、肝臓がEPADHAを欲しがっていることが分かりますし、脳もそうです。

脳や神経組織に輸送される形態のリゾホスファチジルコリン (LPC) を使って実験を行いましたが、脂肪酸はリゾホスファチジルコリンに結合しており、その分子は水溶性が高く、実際には10~マイナス4倍です。

単体ではなく、EPADHAなど多くの脂肪がフェリーボートに乗っているようなもので、そのフェリーボートは脳内に輸送するリゾホスファチジルコリンと言えます。

EPADHAのLPC (EPADHAが結合したリゾホスファチジルコリン) を注射すると、血液網膜関門を通過して脳内に放出されます。これらの分子を掴もうとする幾つからの器官を確認することが出来ます。私たちはこれを無限シンクと呼んでいます。

例えば、脳に送られたものは、分解されるまで脳内に留まるように見えます。半減期はおそらく数百時間ですが、循環系ではEPAよりDHAの方が半減期が百数十時間ほど長いのです。

つまり、摂取量を変えると、安定した状態に戻るまでに少なくとも600時間はかかるということです。その為、オメガ3脂肪酸ですぐに状態を元に戻すことはできません。忍耐が必要です」(ホーエム博士)

 

 

コリンの重要性

同じトランスポーターであるLPCは、EPADHAを目や肝臓、妊婦の場合は胎盤に運ぶ役割も果たしている。LPCは非常に重要である為、定期的にホスファチジルコリンを補給する必要がある。これは多くの人が不足状態である。

LPCは内因的に生産されるが、生産能力はコリンに依存している。ホスファチジルコリンを作る原料、つまりEPADHAが必要である。多くの魚介類にはEPADHAが含まれており、ホスファチジルコリンの優れた供給源である。コリンを最も豊富に含む食材は卵である。


「研究によると、コリンの摂取量を増やし、オメガ3系の摂取量を増やし、ホスファチジルコリンの摂取量を増やせば、脂肪肝やメタボリック症候群に陥るのではなく、非アルコール性脂肪肝から正常な肝臓に戻すことができるでしょう」とホーエム博士は述べた。

 



最適なオメガ3サプリメントとは?


多くの人がオメガ3脂肪酸の重要性を理解しているが、魚油サプリメントが必ずしも最良の摂取源ではないことを理解している人は少ない。殆どの魚油サプリメントに含まれるオメガ3は、エチルエステルという合成形をしている。

天然のオメガ3には、トリグリセリド型、リン脂質型、遊離脂肪酸の3種類がある。これらの天然型とは異なり、エチルエステルは消化されにくい為、脂肪分の多い食事と一緒に摂取する必要がある。


「エチルエステルは体内で脂肪として認識されない為、純粋なエチルエステルを単体摂取しても体内を通り抜けて便として排出されてしまいます。しかし、脂肪分の多い食事と一緒に摂取すると、体は脂肪を認識して消化プロセスを開始します。しかし、エチルエステルがほとんど吸収されずに消化管を通り抜けるのを見たことがあります。

殆どの魚介類には中性脂肪とリン脂質の両方が含まれているでしょうし、当然、交換形態は遊離脂肪酸です。遊離脂肪酸は極めて微量ですが、トリグリセリドとリン脂質という2つの主要なグリセロ脂質があります。

それが自然の摂理なので、食品を丸ごと食べると必ずそうなります。リン脂質やクリルオイルを扱っていますが、魚油サプリを否定するつもりはありません。多くの人がこういった形でEPADHAを摂取しており、摂取しないよりも遥かに良いからです。


しかし、どうしても納得できないことが1つあります。米国では、エチルエステルをフィッシュオイルと呼ぶことが許されていますが、率直に言ってそれは納得できません。明確に表示する必要があります。

エチルエステルの利点は、環境毒素を除去できることです。その代償として、分子に高い熱負荷がかかります。部分水素化脂肪やトランス脂肪の歴史をご存知でしょう。50年後、それらが100万人のアメリカ人の健康と命を奪ったことが分かりました。そして今、それらはアメリカ、ヨーロッパで禁止されています。

トランス脂肪酸が危険な理由は、間違った構造をしているからです。間違った方向に曲がり、脂肪を読み取る特定の反応要素を持つ酵素トランス脂肪酸を誤って読み取るのです。例えば、トランス脂肪酸が膜に挿入される方法は正常ではない為、脂肪が曲がってしまうのです」(ホーエム博士)

 

エチルエステル由来オメガ3のもう1つの欠点は、オメガ6脂肪よりも不安定であることだ。腐敗しやすく、酸化ストレスの影響を非常に受けやすいことを意味する。その為、酸化しやすくなり、重大なダメージを引き起こす高度なリポ酸化最終産物 (ALE=advanced lipoxidation end products) が生成される可能性がある。

ここで重要なのは、ALEが自発的に発生しやすいということだ。ホールフードの場合、これは起こらない。例えば、クリルオイルには天然アスタキサンチンが含まれており過酸化を防ぐ。リン脂質も酸化しにくい。

 

 

最後に

最後にまとめると、殆どの人はオメガ3のサプリメントを補給する必要があるということだ。特に、加工食品を多く食べている人は必須だろう。オメガ3の摂取量が増えると、EPADHAは1:1の比率でオメガ6を置換し始める。

ホーエム博士は、1年に1回オメガ3指数検査を受けることを推奨している。理想的には指数7以上であることが望ましい。


「覚えておいて欲しいことは、動態反応速度は非常にゆっくりだということです。2倍の量を投与しても、再び安定した状態になるまでには3~6ヶ月かかります。半量にした場合も同様です。1日や2日では変化を認識できないですが、6か月後には認識できるでしょう。つまり、長期的なものです。

これは薬理学ではなく栄養学です。また、脂質ベースのシステムが正しく機能する為に備えておく必要があるのです。適切な脂肪酸を摂取して膜のケアをしなければ、正しく反応したりする必要がある時に、脂肪酸を摂取しても手遅れになってしまうのです」(ホーエム博士)


LAの蓄積量が枯渇し(これ以上オメガ6リノール酸を摂取しない場合で最長7年かかる)、ALAを十分に摂取していれば、体内で必要なEPADHAを内生的に生産できる確率はグッと上がるだろう。

 

以上、オメガ3シリーズ終わり🤗