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「神の遺伝子」小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)仮説

人間の精神において、神や霊的な存在を感じる上で重要な役割を果たす遺伝子が存在する。その遺伝子は小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)である。この「神の遺伝子」が果たす宗教的な役割について我々は研究・分析し評価した。参加者2000人のうち1000人は宗教的概念に肯定的で、1000人は否定的な者である。

「神の遺伝子」仮説は、小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)と呼ばれる遺伝子が、人間を霊的あるいは神秘的な体験に向かわせる傾向があるとするものである。

この考えは、米国立がん研究所の遺伝子構造・制御ユニットのディレクターである遺伝学者ディーン・ハマー博士により提唱された。ハマー博士は、2005年に出版された「神の遺伝子:信仰はいかにして遺伝子に組み込まれたか」(原題:The God Gene : How Faith is Hard wired into our Genes)の著者である。

仮説は、行動遺伝学、神経生物学、心理学の組み合わせに基づいており、主要な論点は以下の通りである。


1.
スピリチュアリティは心理測定によって定量化できる

2. スピリチュアリティへの根本的傾向は部分的に遺伝する
3. 遺伝性の一部はVMAT2という遺伝子に起因する
4. この遺伝子はモノアミンレベルを変化させることによって作用する
5. スピリチュアリストは楽観主義的な感覚を備え持っており、自然選択によって有利な状況を生みやすい。これは備え持つ感覚が肉体・精神に良い影響を与える為である


この仮説によれば、VMAT2は人々によって連想される「ある感覚」を生み出す生理学的な配置である。


・・・という、面白い研究論文が存在している。VMAT2は、セロトニンドーパミン、アドレナリンなどモノアミンをシナプス小胞内に運ぶ役割を持つ物質でこんな感じ。


シナプス小胞内・前終末「モノアミンをドバっと放出!」

シナプス間隙「モノアミン来ました~感じてます~😍」

細胞膜トランスポーター「モノアミンを回収するで」

VMAT2「モノアミンを再利用するんでシプナス小胞に持っていくわ」

シナプス小胞内・前終末「モノアミンをドバっと放出!」

以下Endless...


この流れに乱れが生じると、メンタル疾患などに繋がっていく。大切な人の難治性うつ病寛解を模索している内に、VMAT2と神の遺伝子論文を知りました。

この研究では、神や霊的存在を含む神秘的な体験、心の状態としてのスピリチュアリティを測定可能な尺度に定量化して行われた。スピリチュアリティは、心理学者ロバート・クロニンガーの研究に基づき3種に設定された。


①「自己陶酔」(読書など、ある活動に完全に没頭する傾向)
②「超人的同一性」(神や宇宙とのつながりを感じる感覚に陥る)
③「神秘主義」(超能力など科学で証明されていないことを信じる心理状態)


これらの測定値を合わせて、誰がどの程度スピリチュアルな心理状態になっているか測定。1000人以上のDNAと性格スコアのデータを分析し、自己超越(自我が完全に消え無我で生きることが可能な精神状態)を生む特定の遺伝子座VMAT2を特定したとされる。

VMAT2は上で解説した通りの物質で、スピリチュアル的な信念に関連する脳活動を制御する上で重要な役割を果たすと推測されます。利点等について解明はされていないものの、ハマー博士は「自己超越が人をより楽観的にし、その結果、人はより肉体的・精神的に健康的になる」という仮説を立てている。

被験者は平均年齢39.3歳、世俗宗教者の平均年齢は41.1歳。研究において宗教家は男性500人、女性500人、無宗教者は男性500人、女性500人。


結果、神や心霊現象を信じる人が祈りをささげるなど自己超越状態に近くなるとVMAT2遺伝子の発現・活発化を確認。VMAT2遺伝子が発現している人のうち、243人は特に多く発現・活発化しており、この243人は宗教心が特に強く、神を信じる傾向が強いという結果が出た。

研究に参加した2000人の塩基配列とVMAT2の発現を調べたところ、能力的にも優秀な人材であるほど発現するVMAT2が多いことがわかった、らしい。塩基配列もリンク先にすべて掲載されている。

つまり、スピリチュアルなことに熱心であったり、神秘体験をした、或いは神や不思議な現象を信じる人ほど優秀な傾向にあり心身も健康的な確率が高い、ということでしょうか。

日本で仏教や神道キリスト教などの活動に取り組んでいる人たちを見ると、確かに皆、心も体も健康的な人が多いイメージがあります。

そもそも宗教に熱心である人は、それが良い悪いかは別として性格的・人間的に真面目な人が多いと思われ、ドラッグ、アルコールを乱用したり反社会的な行動に出ることはまず無いでしょう。そういう人ほど脳内機構が健全に活動していることは容易に想像できます。


薬物アルコールに手を染める人は、一見すると挑戦的でオラオラで若い人はカッコよく感じるイメージかもしれませんが、そういう人たちは脳科学的に見ると、破滅的な思考で常に戦闘モードにあり、精神不安定な状態と言える訳です。

信じる者は救われる、そして神や先祖の霊、守護霊などが救ってくれると信じることで精神的に強く前向きに生きていける。つまりモノアミンの活動が活発になる。これはあながち嘘ではないと言えるかと。

それを科学的に証明したのが本研究と言えるかもしれません。人の宗教思想に、どの脳内物質が関与しているかを調べようとした点が面白い研究です。

 

VMAT2は、正確には「Solute Carrier Family 18 Member A2」(SLC18A2)というヒト遺伝子コードを持つタンパク質である。モノアミンを細胞質からシナプス小胞に運ぶ膜貫通タンパク質で、黒質経路および中脳辺縁系ドーパミン放出ニューロンではGABAの小胞内放出にも必要とされている。

VMAT2の阻害は、神経伝達物質の機能に様々な影響を与える。特にドーパミンに対する悪影響が考えられる。降圧剤はVMAT2阻害によるうつ病の副作用例を引き起こす筆頭として挙げられているが、まだ詳細は専門家でも分かっていない。

気分障害の患者はVMAT2免疫反応性の著しい減少を示した。線条体ドーパミン軸索末端へのダメージを反映しているかもしれない。精神疾患やそのプロセスを引き起こす役割を果たす可能性がある、と現時点では考えられております。以上です。