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Cozy Powell - The Drums Are Back Progress Bootleg File


1992年にリリースされた、コージー・パウエルの4thソロ・アルバム「The Drums Are Back」の制作過程を収めた、コージーテープから作られたブートレグを紹介するよ😃

コージーELPを脱退してからサバスに加入するまでの期間や、サバス脱退から「The Drums Are Back」制作及びツアーに至るまでの情報は意外と少なく、謎が多い空白期間となっている。

今回紹介するブートレグは「The Drums Are Back」制作の過程を記録した複数のコージーテープの音源を収録している。このブートレグは、単にリハーサルやセッションの音源を収録した、という単純なものではない。数年間に渡る空白期間の謎を埋める大きなヒントが隠されている音源でもあるのだ。

しかし、メーカーインフォを読み、音を聴いているだけではその謎は埋まらない。カセットインデックスに記載された曲や人物について徹底的に調べ、メーカーインフォにはない新たな情報を大幅に追加しました。では、一連のコージーテープから作られたという「The Drums Are Back」制作過程を収録したブートレグを紹介します。

 

 

 


THE DRUMS ARE BACK ROUGH MIX

DAT A
“Updates + Ruff Mixes Dec 91” written on the index of the tape.
1. The Anthem (Battle Hymn) #1
2. Nothin’ But Blue (Somewhere In Time)
3. Return Of The 7 #1
4. Unchain My Heart
5. The Rocket #1

DAT B
“Monnow + Witney” “Weeks 2+3” and “Solo LP Dec 91” written on the index of the tape.
6. Return Of The 7 #2
7. Burning Star
8. I Wanna Hear Your Shout
9. Classcal Gas Intro. #1
10. Classcal Gas #1
11. Legend Of The Glass Mountain #1
12. The Anthem (Battle Hymn) #2
13. Legend Of The Glass Mountain #2
14. Light In The Sky
15. Return Of The 7 #3

DAT C
5 Tracks Rough Mix. Track titles are written on the index sheet of the tape.
16. The Rocket #2
17. Legend Of The Glass Mountain #3
18. Classical Gas Intro. #2
19. Classical Gas #2
20. The Drums Are Back


レーベル不明(ダイカン某店製)プレス1CD。1991年12月に録音されたらしいリハーサル音源やラフミックス音源を、3本のDATマスターからサウンドボード録音で収録。時系列で並べると、同シリーズ「SESSION TAPE 1991 : FIRST WEEK」の次にくる音源のようだ。

まず驚かされるのが、コージーのアルバムに"Somewhere In Time"としてインストが収録され、ブライアン・メイのアルバムにヴォーカル・バージョンが"Nothin’ But Blue"として収録された同曲が、1991年の時点でヴォーカル・バージョンとして録音されていることである。既に完成に近い形で録音されているが、当初はコージーのアルバムに使われる予定だったのだろうか。

そして、ブートメーカーのインフォ曰く「完全未発表曲」として収録されている"Unchain My Heart"という曲が「The Drums Are Back」製作だけではなく、ELP脱退後のコージーの活動を知る上で非常に重要なカギとなるのである。

この曲は「The Drums Are Back」に収録されている"I Wanna Hear Your Shout"と"Cryin'"の2曲でギターを弾いているジェイミー・ペイジが、1985年に作った曲である(ブートインフォには87年とあるが、詳しく調べていくと85年のようだ)。

オーストラリア人のジェイミーは、アイアン・メイデンの2代目ヴォーカリスト、デニス・ウィルコックス(Dennis Willcox)と共にロンドンで活動を始めたのがキャリアのスタートのようだ。後にオーストラリアのメタルバンドなどに参加している。

1985年、ジェイミーはロンドンを拠点にしていたドライブシャフト(Driveshaft)というバンドに参加している。ドライブシャフトの前身はディスカバリーというバンドで、ディスカバリーを結成した人物は、同じく「The Drums Are Back」に参加しているギタリストでヴォーカリストのジェリー・レーン(Gerry Lane)である。

同じく1985年には、ホワイトスネイクを脱退したばかりのコージー・パウエル、そしてジョン・シンクレアがドライブシャフトに一時的に参加している。つまり、このバンドのラインナップは一時的に以下のようになっていた。

Gerry Lane : gt, vo
Jamie Page : gt
John Sinclair : key
Cozy Powell : dr


後に「The Drums Are Back」に参加する面々が、この時点で既に揃っていた。この時、ジェイミーが書いた"Unchain My Heart"をレコーディングして、音源をRAK Recordsが管理、Mystery Productsが資金提供して、Mystery Recordsからアイルランド限定でシングルEPとしてリリースされているようだ。

アイルランドだけでリリースされた理由の1つは、ジェリー・レーンがアイルランド出身で同国で知名度がある為。ブートのインフォには完全未発表曲と書かれていたが、どうやら未発表曲ではなかったようである。この曲は、Mystery Recordsのオムニバス系のアルバムにも収録されているそうだ。

さらに"I Wanna Hear Your Shout", "Cryin'", "Lonely Nights, Lonely Days"の3曲も、この時期にレコーディングされているみたいだ。但し、この時に録音された音源は全てお蔵入りとなっている。1986年、ドライブシャフトは全く違うメンバーで活動を再開するが、すぐに崩壊している。


1987年。コージーELP脱退後、シンデレラやサンネ・サロモンセンなど様々なミュージシャンとのセッション活動に移行していたようだ。ブートレグ化もされているのでご存知の方も多いだろう。そしてこの時期、コージーの他、ジョン・シンクレア、ジェイミー・ペイジ、ニール・マーレイがドライブシャフトに再び参加している。

1988年に"Unchain My Heart", "I Wanna Hear Your Shout", "Cryin'", "Lonely Nights, Lonely Days", "Hold On", "Race Is On"といった曲を再レコーディングした。この時のラインナップは以下の通り。

Gerry Lane : gt, vo
Jamie Page : gt
Neil Murray : b
John Sinclair : key
Cozy Powell : dr


ドライブシャフトは81年のデビュー以来、何枚かのシングルをリリースしてきたが、フル・アルバムはまだリリースしていなかった。調べていくと、このメンバーで待望のデビュー・アルバムをリリースする予定だったようだ。しかし、理由は分からないがリリースは中止となったらしい。

この時のお蔵入りとなったアルバムの音源は、今現在に至るまで流出していない。これらの音源は、コージーと古くから関係があるRAK Recordsが今も管理しているらしい。ドライブシャフトは活動が行き詰まり、1988年後半には実質的に活動停止状態となる。コージーは同時期に進行していたジャック・ブルースとのバンド計画も頓挫し、ブラック・サバスに参加するのである。

そしてサバス脱退後の1991年、コージーは「The Drums Are Back」の制作に取り掛かる。「The Drums Are Back」の製作とリリースを担当したのは、ドライブシャフトのアルバム制作に長年深く関わっていたMystery Productsとその関連会社である。


コージーは後年、インタビューで「The Drums Are Back」への低評価について怒りを露わにしていたが、その中に「無名のミュージシャンも使ってブレイクさせたからだろう」「ジェリー・レーンなんか大したヴォーカリストだ」という言葉があった。

ジェリー・レーン率いるドライブシャフトに2度に渡り参加して、レコーディングを行ってはお蔵入りとなった楽曲の一部がようやく日の目を見たのが、自身のソロ「The Drums Are Back」であった。

「The Drums Are Back」というアルバムには、コージーだけではなく、ドライブシャフトの仲間や、ドライブシャフトの活動を支えてきたMystery Products関係者などの思いも詰め込まれていたのかもしれない。それを知らないマスコミやリスナーの低評価に対する関係者たちの気持ちを、コージーは代弁したのかもしれない。

「The Drums Are Back」の制作・完成に至るまで、こういった経緯があったことを知ったうえで一連のブートを聴くと、また違った印象を受けるのではないだろうか。では、試聴音源をどうぞ。

 


1. Nothin’ But Blue (Somewhere In Time)
2. Unchain My Heart
3. Burning Star
4. I Wanna Hear Your Shout
5. Legend Of The Glass Mountain #1
6. The Rocket #2
7. The Drums Are Back

 

 

 

 

 

 


THE DRUMS ARE BACK SESSIONS DAT MASTER ARCHIVE

DISC 1
1992 The Drums Are Back Session #1
DAT "Album Mixes From 29-1-92"
1. The Anthem (Battle Hymn)
2. The Anthem (Battle Hymn) Edit #1 (Fade)
3. The Anthem (Battle Hymn) Edit #2 (Stop)
4. Legend Of The Glass Mountain #1
5. Return Of The 7 #1
6. Return Of The 7 #2 (Master)
7. Somewhere In Time (The 6/8) (30-1-92)
8. Classical Gas (Edited) (31-1-92)
9. Unchain My Heart (with Vocal) (1-2-92)
10. I Wanna Hear Your Shout (Shout) (2-2-92)
11. The Rocket (2/2/92)
12. The Drums Are Back (Another Mix) (3-2-92)
13. Cryin' (Edited)
14. Legend Of The Glass Mountain #2

DAT "Album Mixes From 2-2-'92"
15. Return Of The 7
16. I Wanna Hear Your Shout

DISC 2
1992 The Drums Are Back Session #2
DAT "Album Mixes 6-2-92"
1. Nothing But Blue - Inst #1 (Somewhere In Time)
2. Ride To Win #1 (Brian May Mix)
3. Lonely Nights (On Vocal - Unreleased Song) (5-2-92)
4. Ride To Win #2 (Heavy Kick) (6-2-92)
5. Ride To Win #3 (Guitar Up)(6-2-92)
6. Nothing But Blue - Inst #2 (Brian's 6/8 - Somewhere In Time) (6-2-92)
7. Classical Gas (Edited Master) (7-2-92)
8. The Anthem (Battle Hymn) #1 (7-2-92)
9. Legend Of The Glass Mountain (7-2-92)

DAT "Session Tape" (Cozy Powell - Demo's)
10. The Anthem (Battle Hymn) #2
11. Nothing But Blue #3 (Inst Mix - Somewhere In Time)
12. The Drums Are Back (Another Mix)
13. The Rocket (Another Mix)
14. The Drums Are Back (Bass & Keyboard)


レーベル不明(ダイカン某店製)プレス盤2CD。1992年1月-2月にかけて記録されたセッション音源をDATマスターよりサウンドボード録音で収録。

ドライブシャフト時代にレコーディングした"Unchain My Heart",  "Lonely Nights, Lonely Days"の2曲をセッションしている。ということは、当初は"Shout", "Cryin'"も含めて4曲ともレコーディングしてアルバムに入れる予定だったのかもしれない。

この音源でも、ドライブシャフト時代と同様全てジェリー・レーンが歌っている。ジョン・シンクレアやジェイミー・ペイジもアルバムに参加しているし、もしかしたら、ドライブシャフト幻の1stアルバムの現在進行形のような作品を、コージーは作ろうとしていたのだろうか・・・。

 

 


ジャケット裏面にある、このCDに使われたDATテープのコージーの手書きインデックス。"MYSTERY MUSIC" と記載されていることから、アルバム制作にミステリーが深く関わっていることが推測できる。各曲の詳しい解説はメーカーインフォをどうぞ。それでは試聴音源をどうぞ!

 


DISC 1
1. The Anthem (Battle Hymn)
2. The Anthem (Battle Hymn) Edit #1 (Fade)
3. The Anthem (Battle Hymn) Edit #2 (Stop)
8. Classical Gas (Edited)
9. Unchain My Heart
10. I Wanna Hear Your Shout
11. The Rocket
12. The Drums Are Back (Another Mix)
13. Cryin' (Edited) 

 


DISC 2
1. Nothing But Blue - Inst #1
2. Ride To Win #1 (Brian May Mix)
3. Lonely Nights
4. Ride To Win #2
5. Ride To Win #3
6. Nothing But Blue - Inst #2

 

 

 

 

 

 


THE DRUMS ARE BACK ALBUM MIXES FINAL

1. The Anthem (Battle Hymn)
2. Ride To Win
3. I Wanna Hear Your Shout
4. Light In The Sky / Return Of The 7
5. The Drums Are Back
6. Cryin'
7. Legend Of The Glass Mountain
8. Classical Gas
9. Somewhere In Time
10. The Rocket


ボーナス・ディスク1CDR。上段「THE DRUMS ARE BACK SESSIONS DAT MASTER ARCHIVE」を購入するとついてくる。本作もコージーテープの1つで、DATマスターからCDR化しているらしい。

"MIXES FINAL"とあるだけに完成直前の最終段階のミックスを収録しているとのこと。収録曲の位置が完成版とは違っているが、それ以外の違いは殆ど感じられない。完成版との違いが感じられないこの音源に、あれだけ大量のインフォメッセージを考えつくブートメーカーの人の商売への情熱に敬意を表したい。以下、音源どうぞ。

 


ALBUM MIXES FINAL

 

 

 

 

 

 


BACK TO WIN TOUR REHEARSALS 1992

1. Legend Of The Glass Mountain #1
2. Return Of The 7 #1
3. Ride To Win #1
4. Instrumental #1
5. Winds Of Limbo #1
6. Winds Of Limbo #2
7. Ride To Win #2
8. Ride To Win #3
9. Return Of The 7 #2
10. Legend Of The Glass Mountain #2
11. Somewhere In Time #1
12. Somewhere In Time #2
13. Bad Girl
14. Since You Been Gone (Intro only)
15. Instrumental #2 

Cozy Powell : Drums
Neil Murray : Bass
Don Airey : Keyboards
Mario Parga : Guitar (Trk 1-6)
"Dave" : Guitar (Trk 7-15)


レーベル不明(ダイカン某店製)プレス盤1CD。「The Drums Are Back」製作後に記録されたと思われるリハーサル音源をサウンドボード録音で収録。

ドン・エイリーが参加しており、この後に行われるツアーにはドンを加えたラインナップを想定していたことが窺える。また、音源の前半と後半でギタリストが変わっている。前半部分はツアーにも参加しているマリオ・パーガがギターを弾いている。

後半でギターを弾いている人物が誰なのか、明確な答えは出ていないようだ。メーカーインフォでは、英国人ギタリストのデイヴ・シャーマン(Dave Sharman)の可能性を挙げているが、私もこのギタリストで確定だろうと考えている。

デイヴは"Roadie Crew"という音楽雑誌のインタビューで、1990年にイアン・ギランに誘われてギターを弾いた時のことを回想している。

「その時の最高の思い出は、ギラン、ニール・マーレイ、コージー・パウエルとギランのスタジオでジャムをしたことさ。"Smoke on the Water", "Child in Time"他にも何曲かクラシック・ソングをプレイしたんだ。俺はその時のリハーサル音源を今でも持っているよ」

とデイヴが話していることから、この時にデイヴとコージーは知り合い、そして2年後にコージーがリハーサルに招いたと考えられる。この音源が記録された詳しい日時が不明だが、個人的にはマリオ・パーガよりデイヴが参加したほうが面白かったのでは、と思うのである。それでは音源をどうぞ。

 


Mario

 


Dave

 

以上で「The Drums Are Back」関連のブートレグ盤特集は終わりです😃