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ダーク・トライアド・パーソナリティ 人の心に潜む悪の特徴


これは、以前から何度か書いた記事を再構築したものである。今、SNSを中心に、誹謗中傷や、偽善的な正義感情による集中的なバッシングといった行為が問題となっている。

こういった行動に駆り立てられる人の多くは、一般社会では常識人としてそれなりの地位にあり、所得面でも中流から上流に属している場合が多いというデータも出ている。現実社会では常識人としての顔を持つ者たちが、仮想空間上では内なる本性を剝き出しにしていると考えられるのである。

こういったデータから、人々には様々な特性があることがうかがえる。ここでは、近年になり犯罪心理学に大きな影響を与えている「ダーク・トライアド」悪の三段論法について紹介したい。

 

💀ダーク・トライアド・パーソナリティ💀

人は本質的に善か悪か?哲学的、実存的な議論を避けるならば、「人による」で完結させられるだろう。

全人類の特徴を一律で表すテンプレートは存在しないが、心理学研究により、特定の行動を、その人物の性格を示す大きな特徴として関連付けることが出来る。大きく分けて3種の特徴が「ダーク・トライアド」と呼ばれている。

ダーク・トライアド論法は、「ナルシシズム」、「潜在的サイコパス」、「マキャヴェリズム」の3つで構成される。3つのネガティブな闇属性の性格特性は、1個人の中で複数が重なり合って存在している場合もある。

ダーク・トライアド傾向を示す人は、暴力や犯罪行為に走る傾向があるとされている。極端な反社会的行動をとらない場合でも、3つの性格は、利己的、操作的であり、他者との共感性が欠如した行動を取るのが普通とされている。


パーソナリティとは、心理学者が人々の思考や行動の違いを理解する為に、それぞれ特定の特性を割り当てることによって使用される概念である。特性を割り当てられた人は、人生において多くの状況で特性に偏った行動を取ると考えられている。

心理学者は、人物の性格分析において、一般にビッグ・ファイブ(5大特徴)と呼ばれるテンプレートを使用する。ビッグファイブと呼ばれる特性には、


①開放性

②良心性
③外向性
④快楽性
⑤神経性


上記5つがある。心理学者は行動を分析後、中核となる特性について細かく得点をつけ、その人物のタイプを結論づける。

ダーク・トライアドにおける3大特徴は、これら一般的なパーソナリティのテンプレートとは違い、人間のネガティブな行動、反社会性と共通している項目で構成される。以下では、ダーク・トライアド属性の人物が示す、具体的な3つの特徴について紹介しよう。

 

 


特徴1:ナルシシズム

ダークトライアドの性格を構成する3つの特徴のうち、ナルシシズムは最も誤診されることが多いと思われる。人々は「一時的に」利己的な行動を取る者や、自身に自惚れる者を指してナルシストと呼ぶことが多い。

だが、そうであれば、皆がナルシストになってしまう。ナルシストという単語自体が臨床の場で使われるものではない。本当の意味での臨床用語「ナルシシズム」の定義は、さらに踏み込んだものとなる。


ナルシシズムとは、極端なまでに自分自身だけに関心を持ち、自惚れることを指す。自分の欲求だけを追求することに、通常の人は罪悪感を持つが、ナルシストはほぼ例外なく平然と自身の欲求だけを最優先させることができる。

心理学者は、真のナルシストであるかどうかを判断するために、NPI(Narcissistic Personality Inventory)と呼ばれる4部構成のテストで採点している。このテストは、個人の自己陶酔、優越感、権威、搾取性(自分の利益の為に他人を利用すること)を判断する為に行われる。

ナルシストは多くの場合、他者との関係を築き、維持することが困難である。人間関係の構築とは、相手と協調する姿勢や、相手の気持ちを察したり考慮する必要がある為だ。ナルシストは、それが出来ないのである。

 

 


特性2:潜在的サイコパス

潜在的サイコパスを理解する為に、サイコパスを理解する必要がある。サイコパスは、ナルシストと同様、漫画などの影響もあり今では一般的によく使われる言葉である。だが、臨床的な意味で言うと、ナルシストと同様にもう少し踏み込んだ意味を指す。

一般的な日常生活の中で、人は誰でも時として感情抑制が出来なかったり、共感性に欠く行動を取ることがある。それが時に冷酷だったり残虐性を感じさせることで、「この人はサイコパスだ」と感じさせる場合がある。

だが、一時的な言動の場合、臨床的にサイコパスとは定義されない。


真のサイコパスとは、反社会的行動が常態化している人を指す。他者に対する共感や後悔の念が欠如しており、衝動性など感情の制御機能も欠如している。真のサイコパスとは、冷酷さ・残酷さが「時に」ではなく、当たり前の状態になっている。他者を傷つけようと冷酷なまでに平然としていられるのである。

潜在的サイコパスサイコパスは、臨床的には別物と定義されるが、特性自体は極めて類似している。この2つの間に違いはないとする心理学者も多い。つまり、潜在的サイコパス・真のサイコパスの行動・思考パターンは同じである。

違いを挙げるとするならば、量的なものと言えるだろう。真のサイコパスは、常に言動に異常性が見られたり、既に犯罪に手を染めていたり、日常の中で反社会性・残虐性が顕著に見られる場合が多い。

例えば、神戸児童殺傷犯の酒鬼薔薇聖斗などは、日頃から小動物を殺傷して楽しむなどの異常性が見られた。こういっ異常性が真のサイコパスには見られるのである。

2つのサイコパスに共通する点は主に以下である。


①世話をする「ふり」をする

②冷淡な振る舞い
③他人の苦痛を理解できない
④浅はかで偽りの人間関係を持つ
⑤犯罪行為を隠蔽しながら日常生活を送る
⑥本当の愛着を形成できない
⑦人により対応を平然と変える(人を傷つけたり殺しておきながら、平然と恋人と交際が出来るなど)

 

 


特性3:マキャヴェリズム

マキャヴェリズムとは、その名の通り、ニッコロ・マキャヴェリが提唱した思想を取り入れた性格のことである。マキャヴェリルネサンス時代の哲学者であり、代表著書の1つである「君主論」で、国家元首のあるべき姿を描いている。

君主論」の主なテーマの1つは、「目的の為に手段を正当化する」というものだ。このテーマが、性格のタイプとしてマキャヴェリズムを強調しているのである。

マキャヴェリズムを発揮する人は、他者を巧みに操ることができる。マキャヴェリアン、マキャヴェリストと呼ばれる彼らは、一般的に巧みな嘘つき・詐欺師とみなされるが、彼らの欺瞞はもっと深いところにある。

マキャヴェリは「君主論」の中で、真のマキャヴェリストは「自分が欲しい物を手に入れる為に、華麗な騙しのテクニックを使い、積極的に行動することの重要性を本質的に理解している」と指摘している。

マキャヴェリストがどのように騙しのテクニックを使うか、一例をここで挙げてみよう。

 

普通の人
「今夜、君と映画を観に行きたいんだ。予定が無いなら一緒に行かない?😊」

マキャヴェリスト
「今夜、映画に行こうと思うけんだけど一緒に来る?私のことを愛しているならトーゼン来るよね?🤨


普通の人
「ごめーん。明日、子供たちを学校に迎えに行ってもらえるかなあ?教えてちょ😊」

マキャヴェリスト
「明日、子供たちを迎えに行ってくれる?子供のことが大事なら、も・ち・ろ・ん・行くよね?🤔」


普通の人
「君と一緒にデートしたいなあ。忙しいかな?時間あるかなあ?😍」

マキャヴェリスト
「デートをしたいけど、あなた忙しくて時間がないから無理でしょ?どうかしら?😏」

 

・・・こういった感じで、こちらから相手に尋ねたりお願いする場面でも、マキャヴェリストは相手が断りにくい、断ると申し訳ないという心理的状況に誘導していくのである。

 

 


ダーク・トライアド・パーソナリティの見分け方

これら3種の特性「ダーク・トライアド」特性を持つ者は、人を欺く性質がある為、一般的な診断において真実を隠す場合が多く、判断は非常に困難である。

これらの特徴を持つ者に共通する点は、人を心理的に巧みに操り、相手が聞きたい・関心があると思うことを察する能力や、それを言葉巧みに伝えることに長けた、優れた嘘つきのテクニシャンであることが多い。

実際、ナルシシストサイコパスマキャヴェリストは、いずれも冷淡で平然と人を欺く特徴を持つ一方で、攻撃性が良くも悪くも積極性として表れる。これにより、人から魅力的だと感じ取られたり、天性の騙しのテクニックで人心掌握術に長ける者が多い。

ダーク・トライアドは、異性、とりわけ男性のダーク・トライアドほど女性を強く挽きつける。

恋人や妻子持ちが非常に多く、社会的に成功している者も多い。反社会性を持つ男性ほど、異性からは「クールで格好良い」として、魅力的に映る傾向にある。パートナーにDVを振るう男性などが、その傾向として挙げられるだろう。


臨床の場では、心理学者が5大特徴のスコアを評価し、ダーク・トライアド・パーソナリティとの関連性と比較して判断を出す。また、3つの特性を一度に測定する12段階評価や、3つの特性を構成する個々の特性レベルを検出する試みも行われている。

素人の個人的なレベルでは、ダーク・トライアド・パーソナリティであるか否かを判断することは非常に難しい。

しかし、嘘をつくことが病的なまでに常態化していたり、自己愛が非常に強いといった特徴が見える場合は、その人物が少なくとも何らかのダーク・トライアド・パーソナリティを持っていることを示す指標になるだろう。

 

 


ライト・トライアド・パーソナリティ

犯罪学や、反社会的行動の理解に大きな影響を与えるとして、研究者の間で注目されている「ダーク・トライアド」。闇属性があれば、当然、光属性もある。ダーク・トライアドの対極にあるのが、最近、提唱された「ライト・トライアド・パーソナリティ」である。

ダーク・トライアド・パーソナリティが、自己愛に満ちた、自身にのみ関心を持つタイプであるのに対し、ライト・トライアドは、カンティアニズム(カントの倫理から定義された、簡潔に言えば自己の目的より道徳や義務などを重んじることを指す言葉)、ヒューマニズム、人間への信仰を持つタイプである。

ライト・トライアドは、本質的に他者に関心を強く持ち、他者に尽くすタイプを指している。カンティアン主義とは 、他者の存在とは自分が生きる目的そのものであるという考えである。

ダーク・トライアドのように、他者を、自身の目的を正当化する為の道具(手段)として利用することは一切ない。この特性は、自分に有利な選択だけを取るのではなく、他者の利益を重要視し、他者の為を考えて優先的に思考・行動するのである。

ヒューマニズムとは、人それぞれの考え方・価値感を大切にすることだ。そして、人間性への信頼、すなわち人間とは本来善良であり、互いに支え合い、他者に対して善を行うと信じることを指している。


ここまで読んで、あなたは自身がダーク・トライアド・パーソナリティか、ライト・トライアド・パーソナリティか、判別がつかないかもしれない。

多くの人々は、中間に位置する存在であるというデータが出ていることを付け加えておこう。日本、北米での学生を対象とした特性試験において、多くの人が5点中2~3点の中間点をマークしている。

つまり、多くの人は時として感情的になり人を傷つけることをするし、嘘をついたり、自分優先で行動を取ることがある。

一方で、他者の為に尽くし、慈愛に満ちた行動を取る時もある。通常、多くの人は闇と光の間でバランスをとった存在と言えるのである。

 

以上です。あなたは如何でしょうか。私は大切な人曰くダーク・トライアド属性だそうです。ひどいっしゅ😭