レトロゲームを飾って眺めているだけの男のブログ

PINK FLOYD - APHRODITE 1971 Peace Record


PINK FLOYD - APHRODITE 1971 Peace Record

1. Introduction
2. Green Is The Colour
3. Careful With That Axe, Eugene
4. Echoes # 1
5. Echoes # 2
6. Atom Heart Mother
7. Cymbaline


箱根アフロディーテの音源に、かつてアナログ盤ブートレッグが存在したのを御存知でしょうか。それは通称「ピース・レコード」として知られる限定100枚しか存在しない幻のレコードで、ホワイトラベルにピース・マーク(☮)と「RECORD」という文字がタイピングされたシールが貼ってあるだけの、極めてシンプルな、しかし、その異様な存在感の煌きがコレクターのアンテナには只ならぬ要チェック危険信号を放つ、ウルトラ級のメガレア盤です。

レコードの製作は1970年代で、資料によると、これは71年に箱根アフロディーテに行ってフロイドを録音した製作者が自身の記念に製作したものと言われています。店頭での展示・販売は一切行わず、親しい知人と当時の関係者のみに配布して終了したという完全なプライヴェート盤で、プレス数も僅か100枚のみだったそうです。

商業用として作られたものではなかった事もあり直ぐに無くなってしまった様ですが、そのためタイトルもなく、ジャケも元々存在せず、半透明の袋のみで白スリーヴにも入っておらず、簡素なラベルのみの装丁となっています。

 


右の商品画像と本作ジャケにはレコード原盤の写真が掲載されますので是非御覧戴きたいと思いますが、恐らく殆どの方がラベルすら見た事が無かったのではないでしょうか。しかもこの大元のリール・テープはもう存在しない事が分かっており、その貴重さは今後ますます増すばかりなのです。

またその収録内容もウルトラ・レアで、特にここで聴ける「シンバライン」は21世紀の現在でもこの録音でしか聴く事が出来ない唯一無二のテイクとなっています。以前当店でも扱ったSirene盤の2枚組『APHRODITE (Sirene-160)』に収録された同曲もこのテイクからのコピーでしたし、人気のSigmaレーベル『APHRODITE 1971 (Sigma 117)』と、その新装版『APHRODITE 1971 (Sigma 133)』のディスクエンドに収録されたものもこれと同一です。

こうした事から現在このレコードはコレクター垂涎の一枚となっており、あまりに貴重過ぎて値段など付けられないメガレア盤となっている訳ですが、とある高名なフロイド・コレクター氏に伺ったところでは市場に出ればまず10万円は下らないだろうとの話でした。

そんな貴重極まりない通称” ピース・レコード “ですが、かつてこれが一度だけCD化された事がありました。1990年代にリリースされた『APHRODITE (DYNAMITE STUDIO – DS94J058)』です。熱心なファンの方であれば一度は手に取られた事があると思いますし、このタイトルで初めて箱根アフロディーテのフロイド演奏を聴いたという方もかなり多くいらっしゃると思います。

 


今回、緊急入荷される本作はその往年のDYNAMITE盤にも使用されたウルトラ・レアな 「ピース・レコード」を、現物の原盤から直接トランスファーした激震のプレス盤タイトルなのです

・・・と、こう書きますと、DYNAMITE盤をお持ちの方は「えー、じゃァもう音を知ってるからいいや」となるかもしれません。でもまさにそれこそが本作最大の登場理由であり、お伝えしたい特別なトピックでもあるのです。

それは2つあり、まずひとつは、あの慣れ親しんできたDYNAMITE盤のサウンドが実はかなりイコライズされた産物で、原盤のイメージとは掛け離れたサウンドだったという事実です。

これは今回、原盤を実際に入手出来たからこそ分かった大発見なのですが、最新のターンテーブルとプロ機材用の業務用針で慎重に再生した原盤はDYNAMITE盤とは比較にならないほどの厚みと弾力が音にあり、音像そのものが濃密で、且つ全体に麗しい湿り気まで感じさせる特級サウンドだったのです。

長く親しまれてきた往年の名盤を悪く言うつもりは全くありませんが、でもこれを聴くとDYNAMITE盤がいかにそのサウンドを平坦で軽いものとして伝えていたかが誰の耳にも分かる筈ですし、原盤はそのくらいに音触と音色が桁違いに違っていたのです。

そしてもうひとつのトピックは、DYNAMITE盤ではほぼ全てのシーンで非常に目立っていた針パチノイズが、本作にはほぼパーフェクトと言えるほど存在しない点です。全く無いとは言いませんが、むしろパチ音を見つけるのが難しいくらいに透明で質の高い重厚な音像が桁違いの聴き心地を放っているのは間違いありません。

本作をお聴きになれば、使用した盤が単にメガレアであるだけでなく、そのコンディションと収録音もメガ級のクオリティを放っている事を御理解戴けるでしょう。

また本作はこのピース・レコードのダイレクト・トランスファー盤ですので、原盤の全てをそっくりそのままプレスで落とし込んでいます。LP盤収録時間の配分上、曲順が大幅に入れ替えられている姿もそのままですし、ピッチ補正以外のリマスター処理等も一切していませんので、まさに原盤そのままの収録音が出てきます。

しかし、それでいてここまで水準の高い、針パチほぼ皆無の高品質サウンドが飛び出すのは正直言って驚異的ですし、慣れ親しんだあのサウンドが原色で現れる驚きを最高値で御楽しみ戴けるタイトルになっています。

DYNAMITE盤はブートレッグCD黎明期のタイトルでしたが、今回のストレートな原盤起こしタイトルはそれ以来約20年振りの更新となりますので、音源としての価値もアッパー感もまさに鮮烈そのものです。



 

Omake🙄

 


PINK FLYOD - DARK MUSIC (Sirene-118)

1. Speak To Me
2. Breathe
3. On The Run
4. Time
5. Breathe (Reprise)
6. The Great Gig In The Sky
7. Money
8. Us And Them
9. D.J. Talks


1972年の二度目の来日公演から、東京公演初日の模様を収録。観客が客席から密かに録音した音源が、権利者の許可なくFM東京で放送され、それをエアチェックしたオーディエンス音源が本盤に使用されている。

以前にAyanamiからリリースされたものと同一音源であるが、今回のリリースには本放送をエアチェックしたマスターテープが使用されており、クオリティは比較にならないほど大幅に向上している。

 


二度目の来日では、当時未発表の新曲「Dark Side Of The Moon」が第一部に披露されたが、「Us And Them」までしかオンエアされなかったのは非常に残念である。当時は著作権に対する意識は薄かったかもしれないが、ラストの司会者のコメントを聴く限り、疑いようもなく確信犯のものである。

 


日本公演の音源はいつの時代も人気アイテムではあるが、この音源は当時の日本を垣間見ることができる社会性の強い内容であり、ドキュメンタリーとしても秀逸な本盤の価値は計り知れない。全ロックファンにお薦めしたい。

 

おわり