イタリアン・プログレの第一人者で世界的成功を収めた「プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ」(PFM)の1975年初来日公演を収録したブートレッグを2点、紹介します。
PFMは知名度の高さから多くのブートレッグがリリースされており、オフィシャルでも「アブソルトリー・ライブ」といったボックス・セットや70年代のBBC音源集など複数のライブ盤が存在している。
1975年、初来日公演のブートレッグはオーディエンス音源で古くから繰り返し登場しており都度アップデートされてきた。更にはサウンドボード音源も登場。衝撃を受けたファンも多かっただろう。
彼らの演奏力は数あるプログレバンドの中でも群を抜いており、また、イタリアのバンドらしい美しさや叙情性と明るくてユーモラスさを含んだ楽曲の数々は、まさに唯一無二と言えるもの。
ユーロ・プログレのバンドにありがちなB級ロック的な臭さもなく、世界で人気を得たメジャーバンドの風格を感じさせる。今回はPFMが最も輝いていた1975年の初来日公演から、所有しているブートレッグを2点、音源付きで紹介したいと思います。
Nights of Celebration (Sirene-161)
SIRENEレーベル、プレス盤4CD。1975年11月23日渋谷公会堂公演をサウンドボードで、11月29日中野サンプラザ公演をオーディエンス録音で収録。2006年リリース。300枚限定プレス。1975年の来日公演は全て登場したことになる。
23日 東京
NIGHTS OF CELEBRATION (Sirene-161)
25日 大阪
THE FAR EAST EXPERIENCE '75 (LM96001/2) source1
HARLEQUIN」(Virtuoso 001/002) source2
28日 名古屋
COOKING NAGOYA (Blue Cafe-329A/B)
29日 東京
CELEBRATION (TNT STUDIO)
COOL (Highland)
TOKYO 1975 FINAL (Ayanami)
NIGHTS OF CELEBRATION (Sirene-161)
本作「NIGHTS OF CELEBRATION」は東京公演の決定盤といったところだろうか。23日・渋谷公会堂公演は高音質サウンドボードだが、ややデッドな音で、恐らく関係者による卓直結録音だろう。モノラルであり、ヒスノイズが目立つ。
とは言えSBDで聴けるのは大変に有難い。CD2枚に渡り90分収録で不完全収録。残念ながら "Chocolate Kings", "Harlequin" の2曲がカットされている。メーカーインフォによると、
「日本でコンサートができて大変幸せです。また、我々を助けてくれた多くの方たちに感謝します。街ではたくさんの友人に会うことが出来ました。全ての美しい人々、どうもありがとう」
とMCで話しているらしい。ラストの "Celebration (reprise)" におけるバンドと会場の一体感は最高で、これぞライブの醍醐味と言ったところ。
続いてディスク3,4は既発のアップグレード音源でマスターテープよりダイレクトに収録された、29日中野サンプラザ公演。オーディエンス録音。コンサート開始前の司会者による日本語のアナウンスから収録。演奏内容は初日より完成されている。音質、内容共に完璧といえる音源だ。
なお、ディスク4のラストには、ボーナストラックとして来日時に出演した「Pops In Picture」なる日本の音楽番組の音声を収録している。これは確かAyanami盤にも収録されていたはずで既出音源である。
ジャケット、インレイの裏面。ではフルアップ音源をどうぞ。出来れば無断転載は堪忍してちょ、せめてここのリンク貼ってちょ🙏
disc 1
disc 2
disc 3
disc 4
以上で、まず「NIGHTS OF CELEBRATION」の紹介は終わり。続いては、25日・大阪厚生年金会館公演を収録した古典ブートを紹介しましょう。
THE FAR EAST EXPERIENCE '75 (LM96001/2)
le matangoレーベル、プレス盤2CD。1996年にリリースされた同レーベルのデビュー盤。プログレ系名門レーベルle matangoがデビューに選んだのが、PFMの初来日大阪公演である。
傑作アルバム「CHOCOLATE KINGS」リリース直前(の予定だったが延期となり1976年のリリースとなりました)ツアーから、1975年11月25日大阪厚生年金会館公演をオーディエンス録音で収録。ディスク2には75年5月21日ロンドン・パリス・シアターで収録されたBBCラジオ放送音源を収録。
大阪公演ラストの "Harlequin" は途中でぶつ切りという形で終わるが、それ以外は問題なく収録されている。この初来日公演は難波弘之氏も観に行ったらしく、同じく生で観たというELPとの演奏技術を比較して「ELPよりもPFMのほうが演奏力が高かった」と感想を残している。
VIRTUOSOから「HARLEQUIN」(Virtuoso 001/002)というタイトルで別ソースを使用したブートが登場しており、"Harlequin" もノーカットで収録された完全盤とのこと。
BBCライブは「ペイパー・チャームズ」として2014年にオフィシャル化された為、音源としての価値は残っていないかと。90年代後半に出回ったSPIRALレーベル「LONDON 1975」と同じ音源である。
新発掘の高音質音源が出ているとはいえ、別ソースでこちらもなかなか高音質である。同じ公演を違う席で録音された音で聴くのもオツなもの。では、音源フルアップでお楽しみください。
disc 1
disc 2
ジャケット、インレイの裏面。以上でpfm特集は終わり。