レトロゲームを飾って眺めているだけの男のブログ

【EUROPEAN ROCK】FOCUS - National Jazz, Blues and Rock Festival 1972


70年代に世界的成功を収めたオランダのプログレッシブ・ロック・バンド「フォーカス」の、1972年8月12日レディング・フェスティバル出演時の音源を収録したブートレグを紹介しよう。


フォーカスの歴史は、1969年にタイス・ファン・レール(キーボード・フルート・ヴォーカル)、マーティン・ドレスデン(ベース)、ハンス・クルーヴァー(ドラム)によるギターレスの3ピースバンドREBAPTISED結成から始まった。当初はトラフィック等のカバーを中心に演奏していたという。

タイスは、オランダのシャンソン歌手ラムセス・シャフィーの演劇グループにピアニストとして所属しており、その縁でバンドは69年11月にシャフィー・シャンタンと共演した。

当時BRAIN BOXのメンバーだったヤン・アッカーマン(ギター)がステージを偶然見ており、セッションを行い意気投合。アッカーマンはREBAPTISEDに加入。バンド名をフォーカスと改めてスタートした。

フォーカスとしての最初の仕事は、有名なロック・ミュージカル「ヘアー」のオランダ公演におけるピットであった。1969年12月~1970年6月まで劇場で演奏。その合間にサウンドトラック盤をレコーディングしてポリドールからリリース。

同時期、バンドはマーティン・ドレスデンの父親の人脈からロンドンでレコーディングを開始している。6月、マルヨカ島で行われた音楽イベントに出演。演奏途中に制限時間に達してプラグを抜かれた為、タイスがフルートで即興演奏をしたことがきっかけで "House Of The King" が誕生。

この曲を気に入ったインペリアル・レコードと契約を結び、1970年9月に1st「FOCUS PLAYS FOCUS」がオランダ国内でリリース。翌71年には "House Of The King"を追加収録し、「IN AND OUT OF FOCUS」と改題して世界マーケットでリリースとなった。

ヤン・アッカーマンは、マーティン・ドレスデンとハンス・クルーヴァーの演奏力に強い不満を持っていた。アッカーマンはタイスに「2人をバンドから辞めさせないなら自分が辞める」と迫り、2人はバンドを事実上の解雇となる。

シリル・ハヴァーマンス(ベース)と、元BRAIN BOXのピエール・ファン・デル・リンデン(ドラム)が加入して新生フォーカスがスタートする。

英国プロデューサー、マイク・ヴァーノンのプロデュースで1971年10月に2nd「MOVING WAVES」をリリース。シングルカットされた "Hocus Pocus" (邦題:悪魔の呪文)は全米9位、英20位を記録。アルバムも全米 8位、英2位を記録。世界的な大ヒットとなった。

直後、シリル・ハヴァーマンスがソロ活動の為に脱退し、オーディションに招かれたバート・ルイター(現在ベルト・ライデル表記)が採用されて黄金期ラインナップとなる。1971年10月29日 "Newport Jazz Festival" の舞台が、このラインナップの初ライブとなった。

バンドは活動を本格化。1972年2月~3月に初の英国ツアーを行い、"BBC in Concert" や "The Old Grey Whistle Test" といった有名番組にも出演。6月、メロディメーカー誌のプライテスト・ホープ賞に選出。7月、ロンドンで3rd「FOCUS3」をレコーディング。

8月12日、レディング・フェスティバルに出演。その時の模様を収録したブートレグを紹介します。

 

 

 


OUT OF FOCUS (REEL MASTERS-012)

REEL MASTERSレーベル、プレス盤2CD。ディスク1に1972年12月ロンドン・パリス・シアターで収録された "BBC in Concert" をサウンドボードで、ディスク2に1972年8月12日 "National Jazz, Blues and Rock Festival"  出演時の音源をオーディエンス録音で収録。こちは初登場音源。

ディスク1のBBC1972は定番中の定番で、ファンなら一度は耳にしたことがある音源だろう。90年代から「LIVE IN LONDON 1973」(Amigo)や、「AT THE BBC 1972」(Highland)など繰り返しブートで登場している。

また、1996年12月にピーター・バラカン氏の司会で5日間に渡り放送されたNHK-FM特番「伝説のロック・ライブ BBC in Concert」で、最終日にトラフィックと共に放送されている。だが、既発盤やNHKの放送音源にはそれぞれに異なった問題点がある。

「LIVE IN LONDON 1973」(Amigo)
■冒頭ボブ・ハリスのMCが丸々カット
エアチェックノイズか若しくはスクラッチノイズか、とにかくノイズが全体的に酷い


「AT THE BBC 1972」(Highland)

■ボス・ハリスのMCが途中から収録
■中盤 "Focus II" 演奏終了直前に音が途切れる


NHK-FM「伝説のロック・ライブ」
■"Focus I" が丸々カットされている


BBC音源は他にも数多くブート化されているが、本作「OUT OF FOCUS」に収録されたBBCライブはトランスクリプション・ディスクから直接収録されている。BBC1972は本作が決定盤と言えるだろう。

 

 


続いて、本作の目玉である1972年8月12日の音源。出演自体はファンの間でも知られていたが、音源は長くブートとして登場することがなかった。この音源は、資料用に録音したレコード会社関係者から流出したという。72年当時のオーディエンス録音としては非常に聴きやすい音質である。

「FOCUS3」アルバムリリース前だが、同アルバムからの曲が多く演奏されている。5曲目はMCで "Anonymus" として紹介されているが、新曲 "Anonymus II" に限りなく近いアレンジで演奏されている。

6曲目は "Tommy" 単体で演奏されており、そのまま "Hocus Pocus" へとなだれ込む。翌年にシングルカットされる新曲 "Sylvia" も披露。73年の演奏と違いスタジオテイクに忠実だ。それではフルアップ音源をどうぞ!





disc 1





disc 2

 

 


ジャケットの裏面。

 


インレイの裏面には使用されたBBCトランスクリプション・ディスクと、リールテープの画像が掲載されている。

以上です😎