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【パブロフの犬】Pavlov's Dog - New York 1975【BOOTLEG】


今回は、芸術的サウンドを創り出したグループとして知られるパブロフズ・ドッグ(Pavlov's Dog)を紹介しよう。有名バンドに在籍したメンバーや、後にレーガン政権に加わり政治活動を行うメンバーまで在籍した、高度な知性と芸術性を感じさせるサウンドを生み出してきたバンドである。

 

 


パブロフズ・ドッグは、初期ラッシュと同じくプログレッシヴ・ロックとハードロックが程よくミックスされたサウンドが特徴であった。シンガーのデヴィッド・サーカンプによる独特の甲高い声は、グループの持ち味の1つと言えるだろう。

大衆に馴染みやすいサウンドが特徴のアリーナ・ロックがまだ存在しなかった70年代初期~中期のロックファンに支持され続けているバンドであるパブロフズ・ドッグは、フォーク・ロック・バンドのTouchにいたサーカンプ (vo, gt)が中心となり、1972年にセントルイスで結成された。


David Surkamp (vo, gt)
Steve Scorfina (gt)
David Hamilton (key)
Doug Rayburn (flute, meltron)
Rick Stockton (b)
Mike Safron (dr)
Siegfried Carver (violin, viola)


という布陣であった。スティーブ・スコーフィーナはREOスピードワゴンに参加していたことで知られる。弦楽器のスペシャリストであるジークフリード・カーヴァー (Siegfried Carver) は本名をリチャード・ナドラー (Richard Nadler) と言い、後にレーガン政権で教育省の顧問となった人物である。

ナドラーは生涯にわたり教育問題に取り組んだ。教育バウチャー制度の支持、教育費の増加と教育向上の関連性の否定はナドラーの教育理念のテーマだったという。ナドラーの他の活動は、気候変動関連法案において今後の圧政に反対する為に作られた財団や501(c)3委員会などがある。

その後は、米国の保守系政治雑誌ナショナル・レビューや、ウォールストリートジャーナルといった専門紙の他、ケイトー研究所やハートランド研究所といったシンクタンクにも寄稿している。ミズーリ州の奨学基金財団のコンサルタントや防衛戦略研究所の会長も務めた。

2009年に病でこの世を去ったが、ナドラーの妥協なき取り組みは、活躍の場を教育や政治に移した後もミュージシャン時代と変わらぬ魅力を放ち続け、政敵からも尊敬を集めていた。

現在、ナショナル・レビュー誌の編集者兼コラムニストであるラメッシュ・ポヌルや、コンプティティヴ・エンタープライズ研究所(シンクタンク)のアソシエイトであるジョン・バーラウはナドラーの弟子である。

 

バンドに話を戻そう。フルート、メロトロン、バイオリン、スコーフィーナのギターの組み合わせは、デヴィッド・クロス時代のキング・クリムゾンと比較されることもあったが、パブロフズ・ドッグはもっとストレートでツイストの少ないサウンドだった。

中西部のクラブ・サーキットでバンドは人気が高まり、1975年にABCダンヒル・レコードと契約した。当時としては破格の65万ドルの前払いだったとされているが、これはプレスリリースによる誇張かもしれない。

その後、理由は不明だが直後にABCダンヒルからコロンビア・レコードに移籍し、その結果、デビューアルバム「Pampered Menial」は2つのレーベルからほぼ同時に、全く同じジャケットデザインと曲目で2度リリースされるという珍事が発生した。


1976年、セカンド・アルバム「At the Sound of the Bell」の制作過程のセッションで、デヴィッド・ハミルトンが脱退しトム・ニッケソンが参加。ジークフリード・カーヴァーもツアー後に脱退している。その後、バンドは1978年に解散した。

パブロフズ・ドッグは未発表のままお蔵入りとなったサードアルバム(後にオフィシャル・リリース)がブートレグとして出回っていたくらいで、ライブ音源は皆無と言って良いほど存在しない。唯一、存在するのがラジオ放送されたらしい1975年ニューヨーク公演である。今から20年以上前にリリースされただけで、再販もなく、ネット上にも一切アップされていない。

ここでは、唯一存在するであろう最盛期パブロフズ・ドッグの貴重なライブ音源を収録したブートレグ盤を紹介しましょう。



 


Pavlov's Dog - Live in NYC 1975 (Ayanami-063)

Ayanamiレーベル、1CDR。1975年ニューヨーク・シティ公演をサウンドボードで収録。恐らくラジオの放送音源をエアチェックしたテープが基になっていると思われる。ヒスノイズらしきものが全編に存在する。

ファーストアルバム「Pampered Menial」のツアー終盤と思われ、制作に取り掛かり始めていたであろうセカンド「At the Sound of the Bell」から "Did You See Him Cry" のイントロが披露されている。他は全てファーストからの選曲となっている。

サーカンプの独特な声質のヴォーカルはライブでも健在で非常に力強い。ハミルトンとレイバーンによるキーボード&メロトロンも完璧で、ジークフリード・カーヴァーのバイオリン、ビオラが加わったことで比類なきバンドとなっている。

シンプルなバラードからカオスな曲まで、バンドの演奏は複雑で美しい曲に仕上げている。フルートやドラムなど、各メンバーが全曲を通してプラスアルファを加えており、非常に素晴らしい演奏である。

中でも、アンフェタミン誘導体を曲名にした "Preludin "は個人的に超名曲と感じる。初期カンサスにも似たバイオリンのセミソロで始まるインストゥルメンタルで、ドラッグ的なムードを持つ。

バンドは決して万人向けではなく、プログレッシブ・ロックというジャンルで括れるような単純なサウンドではない。好き嫌いがハッキリ分かれるバンドだろう。それでもロックファンを自称するならば、バンドのライブを是非一度、耳にしてみて欲しい。




バックインレイ。パブロフの犬と言えばこの絵ですよね。

それでは音源をフルでどうぞ!出来れば転載は堪忍してちょ。前に、ここで掲載していた別の音源を誰かが勝手にYoutubeに転載していたのを見つけて私は悲しいぞい。音源に少し細工してあるから転載したら分かるで😑




ny 1975

 

 


ディスク盤面。以上、パブロフの犬の音源でした!